No.1318640675
暑さで、目が覚めた。
まるで自分が煮えた鍋の中に放り込まれていたような、そんな気分だった。
Tシャツは背中にべったり張りついていて、寝返りすら面倒だった。
なんとか上体を起こす。
部屋の温度計は38℃を示している。
ちゃぶ台の横の座布団に、視線をやる。
――空っぽだ。
「……DORO?」
No.1318640829
寝起きの声はかすれていた。
返事はない。
暑さのせいで思考がゆっくりしか動かない。
寝ぼけたまま、部屋をひとまわりする。玄関のドアは閉まってる。
キッチン、トイレ、押入れ……いない。
まさかこの炎天下の中外に……いやそんなことはないだろう。
そんなとき、チャプ……と、水の揺れる音がした。
風呂場のほうだ。
No.1318640944
ぬるい空気をかき分けるようにして戸を開けると、そこには水を張った浴槽に沈むDOROの姿。
顔だけが水面に浮かび、まるで湯治でもしてるようだった。
目が合ったような気もしたけれど、DOROはそのまま動かない。
「……なるほどね」
俺は何も言わずに戸を閉めた。冷蔵庫から麦茶を出し、一杯飲む。
ちゃぶ台の前に戻って、さっきより少しだけ軽くなった頭でうちわを手に取った。
涼しさはないが、少なくとも風の音はした。
No.1318641848
お洒落な締めだ
No.1318644598
なるほどね
…なるほどね?
No.1318644671
なんなの…
No.1318650136
なにこの…なに?
No.1318645037
鎌倉の小さな家に太平洋から臨む朝日が差し込む中、俺はコーヒーを淹れていた。
すると、玄関がガチャリと開き、聞き慣れた足音が響いた。
ピンク髪にバラの髪飾のDOROが、久しぶりに俺の部屋にやってきた。
DOROは前に出ていった以上には白いモチモチボディをプルンプルンと揺らし、たるんだ体をふてぶてしく足も拭かずに部屋へ運びながらいつもの座布団にスドンと座り込んだ。
座った反動で肉は波立ち、腹肉の隙間には、大切な人の写真や盗んだオレンジが挟まっている。
No.1318645591
「よお、DORO。久しぶりだな」
俺が声をかけると、DORO一瞥もしない
DOROはしゃべらないがその微動だにせず仕草だけで「まあな」とでも言っているような雰囲気だった。
だが、いつもと違う点に俺はすぐに気づいた。
DOROの後ろから、そっくりな小さなDORO……小DOROとでも言うべきか?がちょこちょこモチモチと現れたのだ。
「お前、子供できたのか?」
No.1318645877
小DOROは、DOROのミニチュア版のように見えた。
ピンク髪に小さなバラの髪飾りと紫のリボン、大きな紫の目でふてぶてしい自信満々な顔つき、白い四足歩行ボディがふわふわで、体長はDOROの半分以下くらいだろうか。
俺が驚いて聞くと、DOROは特に反応せず、ただ座布団の上で体を揺らし、小DOROをそっと前足でどけた。
小DOROはDOROのそばピタリとくっつこうとして阻まれた。そして小DOROはDORO特有の紫の目で俺を見つめた。
その目は、まるで「ここはどこ?お前は誰?」とでも言っているようだった。
No.1318646244
DOROは相変わらず無表情だが、小DOROを連れていることで、どこか母としての責任感が漂っているように感じたが、しかし…小DOROに対しては塩対応そのもの。
小DOROが食べようとしたオレンジを平気で奪い食べた。
存分に通常の3倍は噛んで果実の瑞々しさを味わい10分の1以下になった食べかすのオレンジを小DOROに捩じ込んだ。
DOROは、確かに大切な人以外には我関せずな態度だが流石に自分の子供にまでそんな態度ではないはずだ…多分ね
No.1318646529
俺は小DOROを観察してみることにした。
最初はDOROの子供かと思ったが、よく見るとその動きや仕草に妙な違和感があった。
子DORO特有の無邪気さは無く、成体DOROのような太々しいムーヴが目に付く実は小DOROは子供でも幼虫でもなく、その辺でDOROにくっついてきた別の成体だったのだ。
藤沢近辺ではよく野良DOROが勝手に産んで放置した小DOROはちらほらいる。
家に来るDOROは後ろから勝手に来る小DOROには気にしていないだけだった。
No.1318646877
DOROも積極的に世話を焼く様子はなく、ただ「そこにいるなら勝手にしろ」とでも言うような態度だ。
小DOROはそれでもめげず、DOROのそばでカス同然のオレンジをかじり、紫の目で俺をチラチラと見つめた。
その目は、まるで「ここに住んでやっていい」とでも言っているようだった。
No.1318647404
「DORO、お前ってほんと適当だな」俺が呟くと、DOROは一瞥もせず、すぐにオレンジをかじり出した。小DOROは食べカスを食べ終えると、DOROのそばで丸くな…れずに蹴り出された。
DOROはそんな小DOROを無視して、座布団の上で体を揺らし続けた。
DOROの目は小DOROへの関心は皆無だった。
俺はコーヒーを飲みながら、DOROと小DOROの奇妙な関係を眺めた。
DOROは過酷だった。
DORO養殖工場での労働、フェイスハガーや毒DOROクラゲとの遭遇、そして大切な人を待ち続ける長い時間
その中でくっついてきた小DOROを連れているが、DOROにとってはただの同族に過ぎないのだろう
この朝のひとときは、DOROにとって一瞬の休息であり、俺にとってはDOROの新たな一面を見た時間だった。

No.1318649318
情報が多い…!
No.1318649099
俺が同じ個体なら海で死んでなかった?
No.1318655560
毒で3日ぐらい苦しんだだけだよ
No.1318649570
毒DOROクラゲちらほらでてるね
No.1318649330 毒DOROクラゲまだいるんだ湘南の海に…
引用元: 【https://www.2chan.net/】

管理人
どんどん新作が生まれている…
コメント
あ、全部同じ世界のお話なんですね…
一体何が起きてるんです…?
Doroは全然刺さらん
すごいね、かっこいいね
DOROに侵略された世界で拾えるアーカイブ説
水風呂doroかわいい
最近のdoro文学ラッシュはなんなんだよ
doro好きdoro虐大嫌い
無言でふてぶてしく家に居座るの解釈一致過ぎる
うーん赤貝みを感じる
doroって性別♀だったんか……?
doroが世界を侵食してない?
doroってオスメスの概念なさそうだよな・・・無性生殖なのか!?
悔しいけど読んじゃう!