No.1348767275
八月も暮れ、晩夏。
カレンダー上では夏の終わりだが気温はまだまだ高い。
夕方5時、DOROは珍しく座布団の上にはおらず窓際で外を眺めていた。
「どうした、何かあるのか?」
声をかけるも当然返事はない、が、やがて遠くから祭囃子が小さく聞こえ始めた。
どうやら商店街の方でお祭りをやっているらしい。
季節感に無縁の生活、今年の夏は殊更暑く部屋でうだるだけの日々だった。
しばし考え、口にする。
「祭り、行くか」
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DOROは頷きもせず、窓際からポテポテと離れ玄関に向かっていく。
行動で示すタイプだな。
俺は財布をポケットに入れキャップをかぶり玄関へ向かうDOROを追う。
たまには季節らしいことをするのもいいだろう。
夕方とはいえ気温はまだ高くじんわりと汗がにじむ。
商店街へ向かう道すがら、同じように祭りに向かう小学生たちがDOROに声をかけ、走っていく。
「DOROじゃん!!お前も祭り?俺らも!じゃな!!」
どういう関係かさっぱり分からないがDOROは俺よりも地域でコミュニティを形成しているようで、負けた気がした。
それからも何度かDOROは手を振られたり、声をかけられていた。
当のDOROは一瞥もすることもなく、いつも通りだが。
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商店街につくと、出店が出ておりにぎわっている。
祭り自体何年ぶりだろうか、こういう感覚は久々だ。
俺はがま口に500円玉を5枚ほど入れDOROに渡す。
「好きに回って来いよ、こっちも適当にするから」
DOROは何も言わずがま口を受け取り人ごみの中に消えていった。
俺は適当な出店で焼きそばとイカ焼きを買い、商店街のハズレでガードレールに腰かけてもそもそと食う。
味はきっと普通だ、だがやけに美味い。
食い終わると、別段遊ぶでもなく祭りを行きかう人を眺める。
楽しそうだ。
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1時間ほど経った頃、雑踏の中から白い塊、ピンクの髪の毛が向かってくる。DOROだ。
目に入った瞬間、笑ってしまった。
そこには祭がいたから。
お面にヨーヨー、光るリング。口の周りにはソースが付いている。
にもかかわらず両手にはまだイカ焼きとタコ焼き。
他にもなんやら身にまとっている。
明らかに俺の渡した金額分以上に楽しんでいる。
「やってんなあ…!」
奥では広場から小規模だが花火が上がり始めた。
しかし、DOROは満足したのかその足取りは家へ向かっていた。
俺は時折振り向きながら花火を見る。前では夏の塊がポテポテと歩く。
その背中を追いながら家路に向かうのだった。
No.1348768627
祭りがいるとか夏の塊とか表現が好き…
No.1348769968
誰かが夢見た楽園
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地域に馴染んでるけど別段慣れ合うでもないこのマイペースさがいい
No.1348777912
満喫しておる
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食い物を与えたくなる魅力がある
No.1349072447
りんご飴2つ買ってきて俺の目の前で2つとも食べて欲しい
No.1348778631
小学生達にもらったんだろうな
No.1349051948
小学生達と一緒に夏祭り満喫してるDOROも見たいんだ
No.1348788258
DOROじゃん!うち金魚飼えないからもらってくんない!?
No.1348792616
いい文だ…祭りを楽しんだ気分になった
No.1348793310 寝る前にDORO文学摂取できていい気持ちで寝れるぜ
引用元: 【https://www.2chan.net/】

管理人
夏祭りの楽しさと夏が終わるような寂しさも感じ取れる良いDORO文学ですね
コメント
DORO文学の時間だぁ!!
もう20年以上夏祭りなんて行ってない…
コンビニに夏祭りは売ってない
君がいた夏は遠い夢の中空に消えてった打ち上げ花火
寝るわ
うんうんこれこれだよ。DOROが祭を楽しんでいるだけじゃなく、地域にも愛されているのが良きかな
でも今日は涼しかったよ
夏まつり 宵かがり
胸のたかなりに あわせて
八月は夢花火 私の心は夏模様
祭り囃子を遠くに聞きながらの帰り道ってなんとも言えないノスタルジーを感じるよね
こいついつもかわいいな
イラストとても夏祭りでかわいい
「夏の塊」が上手く表現されて良き