No.1320367726
朝、目を覚ましたときから、なんだか違和感があった。DOROが、妙に優しいのだ。
いつもはベッドの端でふてぶてしく寝ているだけのはずが、今日はなぜか俺の頭の横にいた。
しかも、もちもちの体で枕の半分をあけていた。起き上がると、DOROも静かに身を起こす。
紫の目でじっとこちらを見ている。
無言だけど、なんとなく――やわらかい。
一体何を企んでいるのだ。
No.1320367943
疑念を抱きつつも、朝の支度を始める。
コーヒーを淹れにキッチンへ行くと、そこに――テーブルの上に、ポーションミルクがひとつ、ぽんと置かれていた。
いつもは冷蔵庫の奥で忘れられてるやつ。なぜか今日は出てる。まるで、使えと言わんばかりに。
DOROはすでに椅子の上にもちもちと鎮座している。……不自然にお行儀がいい。
午前中は特に何も起きなかった。でもDOROはやたらとついてくる。
洗濯物を干しに行けばベランダへ、掃除機をかければソファの上から静かに見守ってくる。
拭いきれない違和感が夏の夜の寝汗のように纏わりついてくる。
No.1320368221
そう思いながら、午後も過ぎ、夕方になった。ふとカレンダーに目をやる。
「あ……」――誕生日。
数秒、時が止まる。
気にする様な歳でなくなってから、何年が経っただろう。今日は俺の誕生日だった。
思い出した瞬間、背後から、ぽすっと背中に何かが寄りかかってきた。
DOROだ。
No.1320368436
言葉はない。感情も、表情も、薄い。
でも、その体温はいつもより少しだけ長く、俺の背中にくっついている。
もちもちとした重みが、優しく沈んでくる。
知ってたのかと問いかける。DOROは何も言わない。
だけど、さっきよりほんの少しだけ、目が細くなったように見えた。
ふてぶてしくて、感情の読めない生き物。
だけどきっと、今日という日を――ちゃんと覚えてくれていたのだ。
DOROはそのまま、俺の背中にくっついて離れなかった。
夜が来るまで、ずっと。
No.1320368908
いい話だった…
No.1320372199
いい話を朝から見れてよかった
No.1320369716
優しい話の方が好き
No.1320372000
そうそうこういう毒にも薬にもならず何考えてるかわからないのでいいんだよ
No.1320377353
プレゼントにオレンジくれそうなDORO
No.1320378533
DOROにも良い個体と悪い個体が居るからな
No.1320534798
昼休み。
午前の業務をなんとか乗り切り、5分早く職場を出た俺は、駅前の人気の食堂に向かった。
いつも行列ができるが、今日はうまくタイミングが合っていた。
ギリギリで滑り込み、案内された席は――
「相席になりますが、よろしいですか?」
店員の言葉に結構ですと頷きながら、俺は席に腰を下ろした。
相席くらいどうってことない。
この店の「焼き鯖定食」が食べられるなら、それでいい。
でも――次の瞬間、目の前の椅子に座っていたのは。
DORO。
No.1320535223
もちもちの白い身体、ピンクの髪、紫の目。
何故おまえがここに居る?
当然、返事はない。
ただ、DOROは自然体そのもので、当たり前のように座っていた。
もはや空気のような存在感。だが、明らかに異物。まわりの客も店員も、なぜか誰も驚かない。
「ああ、DOROも来てたのね」みたいな顔をしている。
やがて焼き鯖定食が運ばれてくる。
こんがり焼かれた鯖に、ツヤツヤの白米、しじみの味噌汁。
無意識にごくりと喉が生唾を嚥下した。
No.1320535724
いざやと箸を持った瞬間、スッ――と紫の影が横から伸びる。
DOROの前足(的なもの)が、俺の皿の漬物をふわっと持っていった。
待て。まだ箸も付けていないのに。
DOROは無表情で、ぽり、と咀嚼していた。
当然のような顔。罪悪感のかけらもない。
俺は気を取り直して鯖に箸をつける。脂ののった身をちぎって、ご飯に乗せて――スッ。
まただ。
今度は味噌汁の中の豆腐。
No.1320536200
DOROが無言で、器用にさらっていく。もはや芸術の域。
やんぬるかな──。
抵抗しても無駄だと悟った俺は、残りの鯖を死守すべく、箸の動きを高速化する。
食べろ、俺、今が勝負だ。
が――DOROは悠々と、俺のご飯の上に視線を落とす。
そして、こちらの隙を見てほんの一口だけ、白米をすくって口に運んだ。
完全な敗北。
結果として俺の昼食は、全体の3割ほどをDOROに持っていかれた。
No.1320536579
気づけば皿はほぼ空で、DOROはもちもちと満足げ(に見える)表情で俺を見ていた。
いや、たぶん何も考えてないんだろうけど。
日が悪かったのだろう。
レジで会計を済ませながら、俺はどこかで悟っていた。
今日の勝者は、DORO。
何も言わず、何も謝らず、ただ相席して、数口ずつ抜き取って去っていく――そして、俺は午後の仕事に向かう。
満腹には遠い腹と、よくわからない敗北感を抱えて。
No.1320538771
DOROは何も注文してないのかよ
No.1320539293
喋らないのに注文ができるはずなかろう
No.1320551663
DOROが金持ってるように見えるのか
No.1320552138
いや食堂は害獣を追い出せよ
No.1320557849
食ってんじゃねえよ!
No.1320559803
ふてぶてしい
No.1320545799
オレンジ今日も食べてみたけどまだ酸っぱくて泣いた
引用元: 【https://www.2chan.net/】

管理人
DOROと一緒にご飯食べたい
コメント
昨日夜食に炒飯食って後悔したのに今鯖が食いたくなって来た…鯖缶で我慢しよう
本当に夜中に作ってたのかよ
まあでもやたらお腹が空く文章だよな
3割ももっていかれてるけどサバに手を付けられてないならギリセーフか・・・
誕生日のやつはドロシーに置き換えても成立しそう
そのうちコミケでDORO文学専門サークルが爆誕しそう。